10年以上商業広告を制作し続けていますが、顧客に求められるものはスピードだ!と感じることが多いです。
基本的なデザイン力・企画力、お客様との会話から重要なワードを引き出す、といった力ももちろん必要です。どれも顧客に満足してもらうためには必要なことですからね。この顧客満足度に関しても根底部分はスピードなのです。
スピードアップとは?
とはいえ意識したからといって、突然全てのスピードが上がるわけではありません。
それにデザインに関して言えば早く作ればいいとも限りません。
スピードアップのためにと、いつも自分の得意なレイアウトで作る。雰囲気が合わなくてもパーツを使いまわす。時間がかかる打ち合わせは軽く電話で済ませる・・・など、ただの怠けたいだけ、面倒なことはやりたくないスパイラルに陥りかねません。「スピードアップのため」を言い訳に使ってしまうのです。これでは顧客は納得しないでしょう。
大切なのは顧客に満足してもらうためにはどうすればいいのか?ということです。
当然のことながらスピードアップのために顧客満足度を下げては駄目なのです。バランスが大切です。
スピードアップのポイント!
さすがに10年以上、年間200本以上の広告を作っていると自ずとスピードは上がります。とはいえそれでは全く意味がありません。ぼくは10年かかってしまいましたが、意識することで7年・5年と、短くすることが出来るはずですから。
ということで今まで何となく上がってきたスピード、顧客満足度を下げずにスピードアップするポイントをまとめてみました。
- デザイン作業のスピードアップ
- 修正作業のスピードアップ
- レスポンスのアップ
1. デザイン作業のスピードアップ
やはり最初に考えるのは実作業のスピードアップでしょう。実際の現場では、打ち合わせ以外ディスプレイに向かうデザイン作業の時間がほとんどですから。
実作業はだいたいこんな流れになります。うーむ、文字にするとあっさりとした流れですw
デザイン作業をしたことがある方ならわかると思いますが、時間がかかるのは実は迷っている時、なんですよね。作りながら、「あーでもないこーでもない」と考え色々といじってしまう。上の図で言うと「作りこみ作業」をする段階なのに「バランス調整」や「ざっとレイアウト」に戻るという感じ。これが一番時間のロスになるです。
そう!デザイン作業のスピードアップは「頭を使わないこと!」
ということで、デザインをしながら色々と迷うのをやめましょう!頭を使わないようにするんです。
作りこんだあとにレイアウトをいじるのは嫌ですよね?もちろんぼくも嫌です!
でも意外とやっている人、多いと思います。まずはこれを無くしましょう!これで劇的に変わります。
ではどのように迷いをなくすのか?
ぼくの場合、最初の「ざっとレイアウト」を結構な数作ります。写真が50点近く入るようなチラシでも10パターンぐらいは作ります。
なんだか逆に時間がかかってしまいそうですが、「ざっと」レイアウトするというのがポイント!レイアウトをきめて作り始めれば5分1パターンくらいの勢いです。でも位置を動かすといった小手先のレイアウト変更だけだと10パターンって難しいんですよね。となるとキャチコピーやメインコピーの扱いを変えてみたり、いつもと違う訴求の仕方を試してみたりということが必要になってきます。
実際のデザイン作業の段階で極力頭を使わないようにするため「ざっとレイアウト」するこの段階でしっかりと情報を精査するのがポイントです。この根幹部分で顧客の要望に沿うものを考えるのです。
2. 修正作業のスピードアップ
実はスピードで一番差が出るのは修正作業です。修正作業のスピードアップにはIllustratorスキルの向上とコミュニケーション能力です。
Illustratorスキルの向上
結局はこれw わかってますともw こればかりはひたすら数をこなすしかありません。
ぼく自身、入社当時は外注デザイナーが制作し修正作業をぼくが行うという事をやっていました。ただでさえ慣れないIllustrator作業なのに人のデータだとさらに使いにくい・・・。レイヤーやスウォッチの使い方もバラバラ。四苦八苦しながらデータをいじっていました。
しかしこれがかなりスキルアップに貢献したのです。面倒な作業ですが、先輩デザイナーのIllustratorデータをいじれるんです。色使いやレイアウトの仕方、フォントの使い方・・・もうパクリたい放題なんですからw
ショートカットを覚える、文字入力スピードを早くする。なんていうのはとりあえず今回は横においておきます。
ちょっとしたテクニックで差がつくので地道に頑張りましょうw
コミュニケーション能力
この修正作業の段階でコミュニケーション、別に必要ないんじゃね?と思うかもしれません。実はコレ、超重要!
コミュニケーション能力なんてざっくりとした言い回しを使ってしまいましたが、要は顧客が何を考えて修正依頼をしてきたのか。ということを考えるというです。
例えば仕上げたデザインに対して「ちょっと寂しいなぁ・・・キャチコピー部分に色を入れて目立たせてよ。」という修正がきたとします。 もちろん言われた通り目立つようにキャッチコピーに色を入れて目立たせますよね?
またある時は「ちょっと寂しいからバックの余白部分、色を入れて賑やかにしてよ。」という修正依頼。ちょっとバランスが崩れてもやはり言われた通りバックに色を入れ賑やかしますよね?
こういった修正がつづくと、多分デザイナーは次回以降、「この顧客は寂しい感じを嫌うから」と制作段階で寂しくならないように色を入れたりするでしょう。こういった修正は商業広告、特に色々な要素が盛り込まれているチラシではよくありますからね。
でもちょっと待ってください!今回の場合、顧客は本当に色を入れるのを望んでいるのでしょうか?寂しい感じを嫌う人はバックに色さえあれば満足するんでしょうか?
先程も書きましたが、大切なのは顧客が何を考えて修正依頼をしてきたのかということです。
顧客はデザインを依頼しているだけでプロのデザイナーというわけではありません。極端な話、「寂しい感じがする」時の対処法には「色を入れる」という処方箋しか知らないだけなのです。でもぼくらはデザイナーです。顧客の「寂しい感じがする」という不満に対し、「色を入れる」だけでなく「レイアウトを再考する」「使用フォントを再考する」「キャッチコピーを再考する」などいくらでも別案を提案できるはずです。その時々によって対処法が変わるはずです。例え言われた通り修正するよりも時間がかかったとしても、です。
こちらから改善点を提案することで根本にある不満点を無くすんです。最初は大変ですが、この段階で頑張れば今後の仕事がスムーズに進むはずです。困ったときはとりあえずこの人に相談すれば何かしらの情報が聞ける、と思ってもらえるような信頼関係を築くのが大事です。
将来的に仕事がスムーズに進められるこの提案力もスピードアップのひとつです。
3.レスポンスのアップ
レスポンスと一言で言ってもいろいろあります。並行して仕事を進めることが多いですから、なんでもかんでも早くするというのも現実的ではありません。優先順位を決める必要があるんです。
優先順にを決めるポイントは、30分以内にできることは最優先するというルールを作る!これだけでだいぶ変わります。
デザイン作業をしている時に別のクライアントからちょっとした修正依頼が来る、なんていうことはよくある話です。しかしながらデザイン作業がノッている時は他ごとなんてやりたくないですよね。修正作業を後回しにしてしまいがちです。多分デザイン作業を優先する人がほとんどだと思います。
この後回しにしてしまいがちな簡単作業を早くとりかかるんです。
作業時間を10分縮めるのは難しくとも、作業を10分早く始めるのは簡単ですから。
まとめ
長々と書いてしまいましたが、顧客が求めているものがスピードではなく、スピードがあれば顧客が求めているものに近づけられる!という事です。つまりスピードアップのゴールは顧客満足度を高めるということなんです。
そしてこの顧客満足度を高めるということが、さらなるスピードアップをも生むんです。
とはいえぼく自身、まだまだそう思いながらも実行できない時も多いです・・・。忙しい時なんて特にそうです。
まだまだ遅い、もっと早く動かないと!改めて文章におこして感じました。もっと頑張らねば!!!